社労士とは?仕事内容から税理士との違い・費用相場・選び方まで解説
「社労士って何をしてくれる人?」「顧問料の相場はどのくらい?」「税理士や行政書士とは何が違うの?」——会社を経営していると、労務管理や社会保険の手続きで「社労士(社会保険労務士)」の名前を耳にする機会があるかと思います。
本ページでは、社労士の仕事内容から、税理士との違い、費用相場、そして社労士の選び方までわかりやすく解説します。
社労士とは?
社労士とは、「労働保険・社会保険に関する法律」を専門とする国家資格者です。正式名称は「社会保険労務士」で、略して「社労士」と呼ばれます。
企業が人を雇うと、労働基準法・雇用保険法・健康保険法・厚生年金保険法など、数多くの法律を守る必要があります。社労士は、これらの法律に基づく手続きの代行や、就業規則の作成、労務に関するさまざまな相談対応等を通じて、企業の労務管理をサポートするほか、個人の年金相談にも対応する専門家です。その業務範囲は「社会保険労務士法(社労士法)」によって明確に定められています。
社労士になるまで
社労士は、国家試験である社会保険労務士試験に合格し、さらに実務経験を経て初めて名乗ることができる資格です。合格率の低さや学習範囲の広さから、試験の合格には相応の努力と時間が必要とされています。
5〜7%
合格率
国家資格の中でも難関とされる試験
約30種類
学ぶ法律の数
労働基準法など全10科目にわたり出題
約1,000時間
学習時間(時間)
合格までに必要とされる目安
社労士の3つの業務区分
社労士の業務範囲は社会保険労務士法第2条に定められており、1号から3号までの3種類に分類されます。
このうち1号業務・2号業務は「独占業務」とされ、社労士(または弁護士)のみが報酬を得て行うことができます。
また、関連業務として、給与計算を代行する社労士も少なくありません。
1号業務
申請等の提出代行
労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所などへの各種手続きに関する申請書類を作成・提出する業務です。雇用保険の加入手続きなどがこれに当たります。
2号業務
帳簿書類の作成
法令で作成が義務付けられている「労働者名簿」「賃金台帳」などの帳簿書類を作成する業務です。
3号業務
相談対応
人事制度の構築や賃金体系の設計、労務トラブルの解決支援など、幅広い相談対応を行う業務です。
非社労士による違法行為にご注意ください
社労士資格を持たないコンサルティング会社等が、報酬を得て1号業務・2号業務を行うことは法律で禁じられています(社労士法第27条)。
これらの業務は、必ず正式な社労士にご依頼ください。
どんなときに社労士に頼めるのか
ここまでご紹介してきた社労士の役割を踏まえ、実際にどのような場面で相談・依頼できるのか、具体的なタイミングをご紹介します。企業のご担当者様からのご相談はもちろん、個人の年金相談などにも対応しています。
正社員やパート・アルバイトを雇うと、雇用契約書、労働条件通知書、社会保険・雇用保険の加入判定など、必要な実務が一気に増えます。
本業に集中するためにも専門家に相談する価値が高い場面です。
入社・退社・扶養手続き・育児休業に関する給付金・傷病手当金など、手続きは多岐にわたります。
手続きにミスや遅れがあると、従業員の生活保障や会社の信頼に悪影響を及ぼすため、正確な対応が求められます。
従業員に残業(1日8時間・週40時間を超える労働時間の場合)や休日出勤をさせるには、36(さぶろく)協定の締結と労働基準監督署への届出が必要です。
協定書の作成や届出手続きは、社労士にお任せいただけます。
従業員との間で起こるトラブルには、社内の「ルールが曖昧」なことに起因して発生するケースがあります。
法改正への対応はもちろん、会社の実態に合った就業規則を整備することで、労使間のトラブルを未然に防ぎやすくなります。
給与計算では、社会保険の手続き結果を正しく反映させる必要があるほか、毎年の保険料率変更や複雑な残業代計算など、幅広い知識が求められます。
給与計算は社会保険の手続きと一体的であるため、社労士の専門知識が活きる業務です。
雇用関係の助成金は要件の確認や必要書類の整備が複雑で、頻繁に制度変更も行われます。
社労士は、要件の確認から申請書類の作成、行政機関への提出までをサポートします。
日々の労務管理では、さまざまな悩みや疑問が生じるものです。 ここでは、代表的なご相談例をを3つご紹介します。
- 退職者や従業員とのトラブル対応に不安がある
- ハラスメント対策や防止体制に自信が持てない
- 誰に相談すればいいか分からず、1人で抱え込んで判断してしまっている
公的年金(老齢・障害・遺族年金)の受給要件の確認や裁定請求手続き、将来の受給額の試算などを行う実務・相談業務です。
年金制度は非常に複雑なため、専門的な知識と正確な対応が求められます。
社労士に依頼するメリットは何か
ここまで社労士の業務内容や依頼のタイミングを見てきましたが、実際に依頼することでどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットは、以下の5つです。
専門家に任せて安心できる
手続き漏れや給与計算のミスは従業員の生活や会社の信用に影響を及ぼすことがあります。社労士に依頼することで、専門知識に基づいて任せられるため、日々の業務を安心して進めやすくなります。
本業に集中できる
行政機関とのやりとりや煩雑な事務作業は、想像以上に時間と手間がかかります。これらを手放すことで、売上に直結する本来の業務に時間を使いやすくなります。
法改正への対応に振り回されなくなる
労働法や社会保険関連の法律は頻繁に改正されます。改正のたびに情報を追いかけ、自社への影響を判断するのは大きな負担です。社労士に相談できる体制があれば、必要なタイミングで的確なアドバイスを受けられ、対応漏れの心配をせずに済みます。
社員を雇うより安い
人事労務の専任担当者を1人雇用するとなると、人件費だけでなく採用や教育の負担もかかります。社労士に依頼する方が、同じ業務をより抑えた費用でカバーできる場合が多いです。
会社の事情に沿った相談ができる
労務に関する悩みは、会社ごとに事情が異なります。ネットの情報やAIでは一般的な答えしか得られないことも多いです。社労士であれば、実際の状況をお伝えいただくことで、自社の実情に合ったアドバイスを受けることができます。
ここまで見てきた5つのメリットに共通しているのは、「専門家に任せることで、経営者自身の負担が軽くなる」という点です。労務のことを一人で抱え込まなくてよくなるため、安心して本業に取り組んでいただけます。
しかし一方で、「すでに顧問税理士がいるが、社労士も別に必要なのか」と感じる方もいるかもしれません。そこで次に、社労士とほかの士業との違いを整理しておきましょう。
他士業(税理士・行政書士・弁護士)との違い
企業経営に関わる士業は複数ありますが、それぞれ専門領域が異なります。「すでに顧問税理士がいるが、社労士も別に必要なのか?」という疑問は非常に多いため、ここで簡単に主な士業を整理します。
| 士業 | 専門領域 | 企業における主な役割 |
|---|---|---|
| 社労士 | 労働法・社会保険 | 社会保険手続き、就業規則作成、助成金申請、労務相談、給与計算など「ヒト」に関する法務 |
| 税理士 | 税法・会計 | 税務申告、決算書作成、税務相談、節税対策など「カネ(税金)」に関する業務 |
| 行政書士 | 許認可・届出全般 | 会社設立の届出、建設業許可、飲食店営業許可など |
| 弁護士 | 法律全般 | 訴訟・労働審判の代理、契約書のリーガルチェック、法的紛争全般の解決など |
こんなときは、社労士にもご相談ください
このように、社労士と税理士は専門領域が異なります。税理士は「カネ(税務・会計)」、社労士は「ヒト(労務・社会保険)」の専門家であり役割が異なるため、両方の専門家が必要になる場面が多くあります。特に、就業規則の整備や労務トラブルへの対応など「ヒト」に関わる場面では、税理士では対応できない領域を社労士がカバーします。
続いて、弁護士との違いについてです。同じ「労務トラブル」への対応でも、社労士と弁護士では関わる範囲や役割が異なります。
社労士の主な役割:予防・初期対応
- 就業規則の整備による紛争予防
- 退職勧奨の進め方に関するアドバイス
- 合意退職に向けた調整
- 都道府県労働局の「あっせん」への対応(※)
※あっせん=労働局に設置された紛争調整委員会が労使の間に入り、話し合いによる解決を促す制度。社労士は行うことはできず、紛争解決手続代理業務試験を合格した「特定社労士」が行える。
弁護士の主な役割:法的紛争の解決
- 労働審判の代理人
- 訴訟における代理人
- 団体交渉への同席・助言
- 損害賠償請求への対応
社労士が訴訟で代理人を務めることは「非弁行為」(弁護士法第72条違反)にあたり、認められていません。トラブルが表面化する前の「予防労務」として社労士を日常的に活用し、法的紛争に発展した場合に備えて弁護士にも相談できる体制を整えておくのが理想的です。
ここまで、社労士がどのような専門家で、他の士業とどう役割が異なるのかを見てきました。では続いて、実際に依頼する際に気になる費用の相場について見ていきましょう。
費用の相場
社労士の報酬は事務所ごとに自由に設定されており、契約する事務所や業務範囲によって金額は変動します。
ここでは、顧問契約における月額料金と、スポットでご依頼いただける業務、それぞれの一般的な相場をまとめました。実際にご依頼の際は、契約内容に含まれる業務範囲とあわせて費用をご確認ください。
顧問料の相場(月額)
| 従業員数 | 月額顧問料の目安(手続き・給与計算・労務相談を含む) |
|---|---|
| 1〜4人 | 2.5万円〜3.5万円 |
| 5〜9人 | 3.5万円〜5万円 |
| 10〜19人 | 5万円〜7万円 |
| 20〜29人 | 7万円〜9万円 |
| 30〜49人 | 9万円〜12万円 |
| 50〜99人 | 12万円〜18万円 |
| 100人以上 | 個別見積もり |
スポット業務の相場
| 業務内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 就業規則の新規作成 | 約20万円 |
| 就業規則の診断・部分改定 | 3万〜10万円 |
| 会社の労働保険・社会保険加入手続き | まとめて約10万円 |
| 助成金の申請代行 | 成功報酬として受給額の約10〜20% |
| 労務コンサルティング(単発相談) | 30分5,000円〜など |
社労士の選び方
「どの社労士を選べばいいか分からない」という方も多いのではないでしょうか。長期的にお付き合いする専門家を選ぶ際は、価格だけでなく相性や対応力も重要な判断基準になります。
ここでは、社労士を選ぶ際にチェックしておきたい3つのポイントをご紹介します。
相談や依頼に対して、スムーズかつ分かりやすいやり取りができるかは重要なポイントです。特に労務トラブルは初動が肝心なため、返信の早さや説明の分かりやすさも確認しておきましょう。
些細なことにも気を配り、丁寧に対応してくれるかも大切な基準です。こうした丁寧さがある社労士ほど、手続きや給与計算などでミスを起こしにくいです。
単に要望に応えるだけでなく、先回りした提案をしてくれるかも一つの目安です。採用や退職など、会社に変化があったタイミングで、必要な対応を提案してくれるかを見てみましょう。
当事務所でも、上記3点を大切にしながら日々の対応を行っております。ご相談の中でぜひ雰囲気や対応力を確かめていただければと思います。
ご依頼までの流れ
社労士に相談・依頼する際の、一般的な流れをご紹介します。事務所によって多少の違いはありますが、大まかな流れは以下の通りです。
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電話やメール、問い合わせフォームなどから、社労士事務所に連絡します。現在の悩みや相談したい内容を簡単に伝え、面談の日程を調整します。
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対面またはオンラインで面談を行い、会社の状況や課題を詳しくヒアリングします。面談の形式や対応方法は事務所によって異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
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